作品紹介 現代アート
- 2018 saikouan

- 1月6日
- 読了時間: 2分

作品名:of the heart of the mind
サイズ:510mm/395mm
作品内容:
本作は、墨によって「of the heart」「of the mind」と記した作品である。
「of the heart(心の)」と「of the mind(頭の)」は、英語圏においては明確に対比される
概念であり、西洋に根ざす二元論的思考──すなわち感情と理性の分断──を色濃く反映
している。「heart」は感情、直感、愛、情熱といった情緒的側面を、「mind」は思考、理
性、知性、意識といった論理的側面を象徴し、それは “follow one’s heart(心に従う)”
や “make up one’s mind(決心する)” といった慣用表現にも顕著にあらわれている。
対照的に、日本語の「心」は、これら両義的な意味を内包する多義的な語である。「心を
決める」は理性的な決断を、「心が温まる」は感情的な動きを表すように、「心」は東アジ
ア思想──特に仏教や儒教の影響──のもと、感情と理性を分け隔てず、統合された精神
性を指し示す語として機能している。
このような言語的・文化的な差異は、書という表現形式においても看過できない。書の筆
勢は、知性と感情、意識と無意識といった相反する要素のせめぎ合いの中に生まれる。書
家が筆を持ち、墨をつけ、一気に書き上げるその行為は、理知的構造と情動的衝動が交差
する瞬間における身体的表出である。
本作は、西洋と東洋の「心/mind」観の差異を手がかりに、翻訳不可能性そのものを問う
試みである。意味の揺らぎのなかに浮かび上がる文字は、感情と理性、知と感覚を往還し
ながら、自律的な身体運動としての書と、言語の限界を超える視覚表現としての書の可能
性とを探求している


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